事例研究委員報告
「マーケットとしてのニュータウン」
−産直サテライト とさ千里を訪問して−
高田剛司(地域計画建築研究所)

『高知県土佐町の産直サテライトセンター』

 高知県土佐町の第3セクター「土佐産商株式会社」は、平成12年11月、千里ニュータウンに進出し、産直サテライトセンター「とさ千里」をオープンした。
 1Fは、物産販売(主に高知県産の食品)、2Fは、土佐の木材を使った産直住宅・リフォームのショールームとなっている。住宅の建替えに関する具体的な販売事例はこれから。
  土佐産商株式会社と、千里ニュータウンに長年関わっている健康の森(財)生活環境問題研究所が提携をし、立地のときにも両者の関係による経緯がある。




『ニュータウン内に産直センターがある意味』
 「アンテナ・ショップ」は、生産者が消費者の農産物需要傾向を直接つかんだり、特産品の宣伝をするために設けられる食料品店や料理店のことで、各市町村や農協によって、全国的に展開されている。大阪市内にも、天保山マーケットプレースに「ふるさとプラザ大阪」があり(平成8年11月〜)、農村・漁村と都市部の交流拠点として、イベントの開催や特産品の直接販売など幅広い活動を行っている。
 通常は、都心部の集客的機能が強い場所に、このようなアンテナ・ショップが開設されるので、ニュータウン内での立地は珍しいケースといえる。ニュータウン内に開設した意図について、直接話を聞いていないが、主に次のようなメリットが考えられるのではないかと思う。

・シニア世代(60代以上のリタイア層)の存在
・富裕層が多い
 →生活力にゆとりがあり、少量多品種の食材や製品を購入できる世代
 →お金と時間があり、ドライブなどの旅行で高知にも遊びに行きやすい世代
・地域での生活時間が長い
 →都心部よりも、家の近くの方が店に行きやすい
・千里ニュータウンができて30〜40年経過し、建替期・改築期になる
・人々の価値観の変化
・環境問題に敏感(低農薬・無農薬野菜、無添加食品、シックハウス症候群など)
・若年夫婦層も含め、グルメ志向(高くても、おいしいものを)

『マーケット空間としてのニュータウン』
 今後の高齢社会を考えると、「とさ千里」のような産直形態の店舗が、ニュータウン内に数多く設置されることによって、ニュータウン居住者側と生産者側の双方にメリットが生じる。また、それは売買だけでなく、イベントの開催などを通じて交流空間が生まれ、その後の直接的な交流(往来・観光)へと結びつくことも期待される。
 さらに、ニュータウンをマーケット空間として捉えると、ユニバーサル用品や福祉機器等の展示・販売・修理等のショールームなどができる可能性もあるのではないか。
 その意味では、かつてニュータウンであった熟成した“オールドタウン”千里にこそ、マーケットとして大きな可能性が秘められていると言ってもよいのではないか。

[千里トップに戻る]

Copyright(C)1999-2001 (社)日本都市計画学会関西支部