公開事例研
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アートでまちづくり―都市観光の魅力的なツールのひとつとしての「アート」を考える
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日時 2009年3月15日(日) 午後3時〜5時30分
場所 大阪産業大学梅田サテライト 大阪駅前第3ビル19階
趣旨
 アートイベントや伝統文化を利用したイベントによる地域活性化、観光客の集客が、ここ数年、各地で行われるようになり、また新しいイベントが創造されています。 
 イベントの運営方法も、住民の中から生まれたもの、行政が主導して行われているものなど様々です。
 今回は行政が主導し、様々な種類のアートを取り込んだイベントとして、神戸市が主催する「神戸ビエンナーレ2009」(2009年秋に実施)の取り組みについて、神戸市のご担当者からお話を伺います。さらにサウンドアーティストの藤本氏に「神戸ビエンナーレ2007」に参加されたアーティストの立場から、アーティストがまちを「みる」視点についてお話を伺い、「アート」と「都市観光」のつながりについて考える場といたします。

プログラム
 1 神戸ビエンナーレの趣旨
     山田敏之氏(神戸市「神戸ビエンナーレ2009」事務局)
 2 「アートツーリズム」とは
     藤本由紀夫氏(サウンドアーティスト)

講演会概要

神戸ビエンナーレの趣旨
 「神戸ビエンナーレ2007」紹介用DVDからはじまった。「ビエンナーレ」という言葉はイタリア語で、日本語にすると「1年おき」を意味する。アートの世界で世界的に有名なビエンナーレは「ベネチアビエンナーレ」で、すでに100年以上の歴史がある。神戸も異国情緒のある港町という立地、1995年の阪神淡路大震災で市街地が壊滅したとき、歌や演劇のボランティアに支えられた経験などから、「文化によるまちづくり」の推進をうたい、「神戸文化創生都市宣言」をている。文化創生により、震災で減った観光客数を震災前に戻すことも目標のひとつである。
 神戸ビエンナーレ2009は、神戸メリケンパークエリアにコンテナを設置し、アーティストは与えられたコンテナひとつの中に自分の展示空間を創り出すことを中心に、兵庫県立美術館を使った展示、三宮・元町商店街エリアでの展示も行う予定になっている。ほかにも、関連事業が種々企画される予定である。
 コンテナでの展示への応募件数は2007のときが356件、このうち海外からが10件、今回は、398件の応募、海外からは42件と増加している。応募された中から数次の選考を経て出展者が決定される。

「アートツーリズム」とは
 藤本氏が神戸ビエンナーレ2007に関わることになったきっかけは、震災前の1994年にさかのぼる。神戸市の計画等に「アートでまちづくり」という言葉が書かれており、アーティストの使う「アート」と行政の使う「アート」は意味が違うと感じたアーティストが神戸にアトリエを持つアーティストを誘い、集まったのがはじめである。この集りの中で「アーティストとして、自分たちのやっていることを行政に発信する必要がある」ということになり、当時計画されていた「神戸市立美術館」に提言をしたのが最初の活動で、提言をまとめた団体の名前として「CAP」を使い、それが今も続けて使われている。
 1995年の震災で美術館計画は中止となったが、CAPは、アーティストが積極的にアーティストでない人々に働きかけるという活動をはじめた。具体的には、パーティをして人とつながる、居留地の壊れたビルあとの更地で壁を使った映画会をするなどの活動が行われた。1995年の11月3日にCAP企画のアートイベントを行い、11月3日のイベントは、数度実施された。イベントをやめたあと、1999年から神戸市所有の旧神戸移住センターを借り、そこをアトリエとして使うというCAP HOUSE PROJECTがはじまった。ここでは、アトリエのドアは常にあけておき、外来者にアーティストの日常の姿を見せ、応対することをルールとした。このプロジェクトは発展的に解消し、2003年にCAPはNPO法人として法人格をとり、2007年まで神戸市から建物の委託管理を任されることになった。現在この建物自体は改修工事中で、2009年に移民博物館等もはいった建物としてオープン、指定管理者はJVを組んでおり、その一員としてCAPも加わる。
 海外にはこのような事例は当たり前のように存在し、行政とアーティストが対等な関係でパートナーシップを組み、活動が行われているということだった。
 神戸ビエンナーレ2007では、CAPは神戸市の依頼を受けて関連事業として「アートツーリズム」を実施した。神戸のまちの資源を発掘するのが目的の企画で、好評をはくした。
 藤本氏は、このような経験を通して「観光とは、資源を発見し、光をあてること」であり、資源を活用する手段の一つとしてアートは強力な武器になることがわかった。また、「アートでまちづくり」を実現するには、作品をまちなかに置くのではなく、アーティストがまちなかに住み、生活し、活動することが大切であると、実感されたということであった。

 藤本氏の講演のあと、講師のお二人と参加者との間で若干の質疑が行われ、そのあと、希望者による懇親会に席を移し、話が続いた。
 私自身は、藤本氏のお話に共感するところも多く、参加者が20名弱のこじんまりとした講演会だったが、その分、密度の濃い時間をすごせたと思う。
(文責 事例研究会 委員 寿崎かすみ)
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(ページ作成:高田剛司)







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