事例研 in 神戸女学院大学
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2008.9.6

 2008年度の事例研のテーマは「観光とまちづくり」、その第一弾として委員だけの研究会を9月6日に開催することを7月のはじめに決めました。候補地は、神戸、堺、新開地をはじめ、色々あがりましたが、公共交通でのアクセスの良さ、事例研究委員会として久しくとりあげていないことから、奈良のどこかということに落ち着きました。

 奈良の中で最後に残った候補は今井町と奈良町でした。今井町の保存町並み保存には歴史もあり、色々な意味で第一候補となりました。保存運動のはじまりから現在に至る経緯、現状、現地の見学等を「今井町町並保存会」にお願いしましたが、こちらの日程が先に決まっており、先方の日程と合わず断念しました。

 そこで、第二候補の奈良町にお願いをする準備として、奈良町の町づくりセンター(以下「まちセン」)のホームページを確認したところ、奈良町のまちセンは9月6日を定例の見学会としていることがわかりました。さらに、この日の見学会は日本ナショナルトラストが支援している「ヴォーリズ・ネットワークの総会兼見学会に合流」となっていました。 

 ヴォーリス・ネットワークは、ウイリアム・メリル・ヴォーリスの建築物保存運動を行っている団体で、昨年度は軽井沢で、創立記念の総会を開催したばかりということもわかりました。

 本場イギリスのナショナルトラストは、建物だけでなく、まちごと買い取って維持・管理をし、その経費をまかなうためにも観光地としての整備をすすめている団体です。さらに、イベントを開催してその収益も維持管理費にまわしています。

 そこで、日本のナショナルトラストがヴォーリス建築の維持管理にどのように関わり、観光資源として利用しているかを調査することも含めて、事例研究委員会も「ヴォーリズ・ネットワークの総会兼見学会」に合流することにしました。

 この総会兼見学会は、6日は西宮市にある神戸女学院で総会、神戸女学院のキャンパスを見学したあと関西学院大学にて懇親会、7日は六甲山荘見学というスケジュールになっていましたが、事例研究委員会ではこのうちの神戸女学院での総会と見学会に参加しました。

 事例研究委員会としては、ナショナルトラストと関わっての維持・管理・観光資源としての活用のみならず、ヴォーリスが設計し、一粒社により維持管理されている神戸女学院のキャンパスもまた、観光とは直接つながりませんが、ひとつの事例と考えました。

 総会では、神戸女学院、関西学院の先生方をはじめ、全国を巡回している「ヴォーリス展」の企画運営に携わっている大阪芸大の山形先生、元ヴォーリス建築設計事務所長の石田氏によるシンポジウムがあり、様々な立場からのヴォーリス建築あるいは、神戸女学院のキャンパス、関西学院のキャンパスについての話がありました。

 しかし、話の中心はヴォーリスがこれらのキャンパスや建物を設計した経緯と維持・管理にあり、ナショナルトラストにも「観光資源」という認識がまだ薄いように感じられました。

 ヴォーリス建築については、決してメジャーではありませんが、ヴォーリスの建築物をひとつずつ訪ねているファンがいることがWeb上のサイト等からもわかります。この動きをメジャーにすれば「観光」につながりますが、現在も使われている建築物も多く、そのあたりが難しいのかとも感じました。

 実際に歩いてみての「神戸女学院」は、周囲とは異なる「別世界」を構成していました。周囲となじまないという意見もあるかもしれませんが、周囲の住宅地があとからできたこと、それにも関らず最初の姿をまもり続けていることの重みは否定できないと感じました。

 一人の大学教員としては「(キャンパスで)負けた」という思いがありました。それだけの存在感がありました。                      
                       (事例研究委員会 委員 寿崎かすみ)

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(ページ作成:高田剛司)