都市計画国際交流会の実施
1995年

◆テーマ:マレーシアにおける多民族の共存と都市開発
◆趣 旨:マレーシアは目覚しい経済発展をとげている国であり、シンガポールとともに、<マラッカ海峡〜マレー半島>地域は、東南アジア地域の中でも注目される地域となっている。この国は、マレー系、インド系、中国系住民によって構成される多民族国家であり、その多民族共存の実態と、積極的に進められている都市開発の動向に関する報告を行ない、合わせて意見交換を行なった。
◆日 時:1995年10月13日(金) 13:30〜17:00

◇交流会における報告の概要
1. 佐藤道彦<大阪市道路公社>:マレーシアという国の姿
−−道路計画の技術協力の経験を踏まえ、マレーシアの概要報告、および交通問題が社会全体に複雑な連関をもっており、その解決のためには多面的な対策が必要であるとの報告があった。
同時期にマレーシアに滞在した他分野の技術協力員とともに『マレーシア環境・都市問題研究』を作成し、さらに大阪市にはJICA派遣経験者が80名おり、その有志で都市間国際技術交流のあり方に関して取りまとめたとの報告があった。

2. 宗田好史<京都府立大学>:都市開発の実態
−−国際連合地域開発センターに勤務していた経験を踏まえ、マレーシアの都市計画制度の特色および都市計画への市民参加の状況について報告があった。
国が作成する<マレーシア・プラン>と州が作成する<ストラクチャー・プラン>があり、その間の調整が課題であること、および英国の影響を受けた計画決定における市民参加システムが、マレーシアにおいてどのように展開するかに興味がもたれるとのことである。

3. チョン・ホン・シャン<高橋上田設計事務所>:多民族共存の実態
−−マレーシアで高校卒業後日本に留学し、京都大学建築学科卒業、同大学院環境地球工学専攻を修了した。マレーシアの多民族共存状況は植民地であったことによってもたらされたもので、経済の基盤を築き維持していくために、国民は民族間の摩擦を最低限に抑えなければならないという自覚をもっているとの報告があった。この共存状態の中で、<言語>と<文化>が将来的な課題であるという認識が示された。
さらに、修士論文の成果に基づき、クアラルンプールの都心ショップハウス地区における民族共存の実態が紹介された。

4. 宮本孝二郎<なむ環境創造>:ペナンとの町並み保存交流
−−奈良まちづくりセンターは、笹川平和記念財団から<歴史的環境保全運動の国際ネットワーク化事業>に関して3年間の助成を受け活動を展開してきたが、その一環として行なわれたペナン・ヘリティジ・トラストとの交流について報告があった。
この活動の総括として7点が挙げられたが、その中で以下の点が興味深いものであった。
 <ペナンにおけるまちづくり運動は手段であり、人づくり・社会づくりが最終目標となっている。>
 <アジア各国のまちづくり運動は独自の目標と対象および運動主体側の目的意識等を形成している。>
 <歴史的町並みの保存運動はアジア型ないしは日本型のまちづくり手法を目指している。>

文責:鳴海邦碩 国際交流委員長


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