都市計画国際交流会の実施
1996年

風水と都市計画  黄 永融

◆風水は、東アジアにおける歴史都市が共有する計画規範であり、そのことは、中国、日本、台湾の歴史都市の形態を解読することによって明らかにできる。
◆中国古代都城の計画理念を分析することを通じて、防災および防御の観点から診断された自然地形に関する諸知識が地形パターンに関する定型化した知識体系として整理され、さらにその過程で主要な星座の構成を地形や都城の構成パターンに擬えるなどの過程を経て、風水的計画手法が確立・展開してきたことが明らかにできる。
◆日本の古代宮都の選地および形態計画において、中国大陸よりもたらされた風水論が基本的な計画規範として作用した。特に平安京については、南北東西の四方に象徴的な山を望み、南北の山を結ぶ軸線を都の主軸とし碁盤目状の街路構成をとったことは、中国の歴史都市に比しても最も完成された風水手法に基づく構成である。
◆藤原京、平城京および平安京の風水論に基づく空間構成として、今日一般に言われている北に山、南に池、東に川、西に大道という空間構成の認識は、鎌倉時代に生まれた変質した風水論的説明によるものである。
◆清代末期に清朝の風水官僚によって計画された台湾各地の城郭都市の計画規範はいくつかの類型に分けることができる。なかでも同一の官僚によって計画され建設された台北城と恒春城は、いずれも周囲の自然の山から選択された象徴的な山を基準とした構成をとり、それらの山を基準とした城門配置あるいは城壁や道路の軸線設定がみられる。
◆台北城建設に先立って存在していた台北旧市街地は、主に中国福建地方からの漢族移民によって自然に形成されたが、住民の信仰の中心であった廟が風水論の考え方に基づいて立地しており、市街の形成のプロセスおよびその結果もたらされた市街地形態に重要な影響を与えた。
◆歴史都市の環境保全において、建設時の計画規範によって実現した周辺地形との関係を保全することが必要でありまた意義がある。また、自然地形の診断や周辺環境との関係を如何に取り結ぶかにその基礎をおく風水的計画手法の観点から、今日的な計画手法を再評価することによって、自然との密接な連携を獲得する新たな環境計画手法が展開しうる。

黄 永融著 『風水都市:歴史都市の空間構成』 学芸出版社 参照


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