海外都市計画交流会
1997年(インドネシア)

インドネシアは急激な都市化のために多くの都市問題をかかえているが、KIPと略称される密集市街地整備事業のようにユニークな環境整備などを進めていることがよく知られている。このようなインドネシアを訪問し、大学および行政の都市計画専門家との交流を図ることは、アジアの都市計画の発展のために有益と考え、今回インドネシア訪問を企画した。交流内容の概要は以下の通りである。

◆参加者
会員参加者:鳴海邦碩(大阪大・団長)/土井幸平(大阪市立大)/岩本康男(大阪市)/山本 清(日建設計)/竹田勲央(IAO竹田設計)/高田剛司(アルパック)/池田順一(都市工学情報センター)/酒井沢栄(大阪市立大大学院)/田原直樹(姫路工大)/エファワニ・エリサ(大阪大学大学院)
非会員参加者:水野優子(人自然博物館)/ウィカンタリ・リア(大阪大学研究生)

◆交流内容の概要
1. 9/01(月):ジャカルタ
  @ 植民都市として建設された歴史的中心地区の視察
  A 木造密集地域の一掃等による民間都市開発地区の視察
2. 9/02(火)、9/03(水):バンドン
  @ 植民都市として建設された歴史的中心地区およびチャイナタウンから発展してきた中心商業地区視察
  A バンドン工科大学建築学科、ユスワディ・サリヤ教官、エコ・プルウォノ教官と懇談
3. 9/04(木)、9/05(金)、9/06(土):ジョクジャカルタ
  @ 2020年代の構築環境の開発に関するセミナーへの参加
  A 王宮を中心とした歴史的地区の視察
  B 20世紀初頭に建設された植民地型田園都市の視察(ジャワ北部海岸の都市セマランに立地)
  C ガジャマダ大学工学部建築学科、アルディ・パリミン教官、ヨヨック・スブロト教官、イカプトラ教官と懇談
4. 9/07(日)、9/08(月):デンパサール
  @ 伝統的な集落の視察
  A ヌサ・ドゥアを中心とするリゾート開発の視察

2020年代の構築環境の開発に関するセミナーの概要
T.主催者:ガジャマダ大学工学部建築学科
U.プログラム
  1. 歓迎の挨拶:アルディ・パリミン教官
  2. 開会の挨拶:スギット・サヨジョ教官
  3. キーノート・アドレス:鳴海邦碩
  4. 報告1:エファワニ・エリサ
        :居住可能な都心を維持するためのショップハウスの役割/メダンを事例に
  5. 報告2:岩本康男
        :大阪市の都市計画政策
  6. 報告3:アディ・ウトモ教官
        :新アーバニズムと場所性を活かした開発事例
  7. コメント:ミカエル・ロマノス(シンシナチ大学教授)
  8. 討論
  9. 結論および閉会の言葉
V.キーノート・アドレスの概要:鳴海邦碩
  1. 数年前、日本で行なわれたあるシンポジウムで、タイの建築家、スメット・ジュムサイは次のように述べた。欧米諸都市が都市開発において停滞しているのに対し、日本からは1000b建築、2`b建築のような構想が発表され、日本のみが明るい21世紀を迎えようとしているように見えると。
  2. しかし、今、超高層建築の高さを競っているのは、アジア諸国の都市である。ソウル、上海、クアラルンプール、ジャカルタ、シンガポール、香港、台北。
  3. 都心には超高層ビルが林立し、そこではアジア英語をしゃべるビジネスマン達が活躍している。これはひとつのアジア的都市現象とも呼べるものである。
  4. これらの都市に共通していえることは、高層建築が一般化しつつあることだ。庶民の一般的な住宅としては、高層住宅が忌避される傾向にある欧米とは、逆の現象である。
  5. このような現象がなぜこれらの都市において展開し、受入れられているのかについて、考えてみなければならない。
  6. この課題も含め、アジア都市、特に、海洋性アジア諸国の将来的な課題はどのようなところにあるのだろうか。これに関連し二つの課題を提起したい。
  7. 一つの課題は都市の個性をいかに保持するかということである。アジアの都市にとって不幸なことの一つは、近代化というものが欧米の衣を着て訪れてきたことだ。その結果、個性形成の方向を見失っている。
  8. 一方、いつの時代においても、都市が活力をもつために欠くことができないのは、交流が盛んであることである。人や情報、物の交流、特に、人や情報の交流が不可欠である。
  9. そうした交流が盛んであるためには、それぞれの都市が個性を、固有性をもたなければならない。このことにこれらのアジアの都市は成功しているのだろうか?
  10. 第二の課題は、アジアの都市は共通して、都市の大部分がカンポンであることだ。日本ではこれを密集市街地という。こうした市街地は、欧米的視点でみればスラムである。しかし、スラムとは断定できない特徴をもっている。このカンポンの存在と、高層住宅の普及には相関があるのかもしれない。
  11. 都市計画は実験ができない。それぞれの都市が唯一の存在であるからだ。したがって、わたしたちには、歴史的に、あるいは同時代において比較地域的に他の都市を参照していくしか、都市のあり方を検討する方法はない。
  12. それゆえに今回のような会議をもつ意義があると考える。
W.討論の主要な論点
  1. ショップハウスと都心居住の可能性について。ライフスタイルが変化していく傾向があるが、ショップハウスがそれに応えうるかどうか。
  2. カンポンあるいは密集市街地を改善していくためには、別の空間形態あるは土地利用に置き換える必要があるのではないか。
  3. 大阪市の市街地開発計画はどのように立案され、誰によって実行に移されるのか。


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