業績名 「大阪府災害に強い都市づくりガイドライン」の策定と普及、活用

1.策定の背景 

 ○ 阪神・淡路大震災は、自然災害の脅威とそれに対する都市の脆弱性を再認識させ、従来の都市づくりのあり方を再考させる契機となった。

 ○ 大阪府土木部では、震災直後から専門家で構成される「災害に強い都市基盤施設整備検討委員会」(委員長:吉川和広関西大学教授)を設置し、約2年間に及ぶ検討の結果、委員会の提言として「災害に強い都市基盤施設の整備方針」がまとめられた。そのなかで、この方針を実施していくための新しい計画基準づくり(「災害に強い都市づくり計画基準」づくり)の策定を求めている。

 ○ この提言に基づき、災害に強い都市づくりを実践していくため、「大阪府災害に強い都市づくりガイドライン」を策定した。

2.策定の主旨とガイドラインの性格・

 ○ 都市づくりの企画・計画・事業・維持管理の各段階において、日頃から地震被害を最小限に止める『減災』の視点を確実に盛り込むことを目的とした。

 ○ 内容は、阪神・淡路大震災の教訓を生かしつつ、現在までに蓄積された知見をもとに、地震防災の基本的な考え方を、施設の配置・規模、防災機能の向上、相互連携の視点から整理した。

 ○ 従来の基準のように実施すべき最低基準を示したものではなく、このガイドラインの考え方を理解してもらい、地域の実情に合った、より望ましい方策を検討し、実行するのに役立ててもらうことを意図した。
  
 ○ 都市づくりに関わる人々に、このガイドラインを参考にしてもらい、各地域の実情に応じて、可能なところから「減災」の視点が確実に盛り込まれることを期待している。

3.概 要

  1.市町村が主体的に『防災都市づくり計画』を策定する。
     ○延焼遮断帯、避難地・避難路、密集市街地整備を計画的に実施。
  2.密集市街地において『防災再開発促進地区』を指定する。
     ○客観指標を用いて危険な密集市街地を選定し、優先的に再整備。
  3.避難路沿道などで『路線式の防火地域』指定を推進する。
     ○周辺不燃化により延焼遮断帯の形成や避難地・避難路の安全性を向上。
     ○延焼危険度の高い密集市街地等において、防火・準防火地域を指定。
  4.府と市町村が協同で『都市復興マニュアル』を事前に作成する。
     ○被災後の迅速な建築制限や都市計画手続き等のためのマニュアルを作成。
  5.広域防災上重要となる『骨格安全軸』を重点整備する。
     ○周辺山系、大阪湾岸、大規模河川、大阪中央環状線の防災機能強化。
      (都市山麓グリーンベルト 、耐震強化岸壁、河川船着場の整備、橋梁耐震補強など)
  6.防災拠点の形成とネットワーク化を推進する。
     ○防災拠点へのアクセス道路網を強化するとともに、周辺整備を充実。
     ○公園、港湾、河川を救援、避難、輸送等のための拠点として整備。
     ○防災拠点等を結ぶ緊急交通路の確保、強化を重点的に実施。
  7.都市基盤施設の耐震強化を計画的に推進する。
     ○緊急輸送の確保、二次災害の防止等の観点から実施計画を策定。
     ○施設の重要度、代替施設の状況、応急復旧の難易度等から耐震水準を設定。
  8.緊急活動と延焼防止のため幹線道路等を『基本安全軸』として整備推進する。
     ○幅員16m以上、2kmメッシュの幹線道路等により、広域避難地や防災拠点等を連絡。
     ○沿道不燃化、防災植樹、落下物防止、無電柱化等を推進し、防災機能を強化。
     ○鉄軌道、河川等の空間も活用し、安全軸ネットワークを形成。
  9.幹線道路や河川空間、耐火建築物群などを活用し、延焼遮断帯を整備する。
     ○基本安全軸における重点整備と既存ストックを活用した効率的な整備。
  10.避難地・避難路を適切に配置し、段階的で安全な避難体系を確立する。
     ○避難地・避難路の段階的な配置と既存ストックの活用。 
     ○身近な公園の重点整備と機能強化。
     ○避難誘導のための案内標識や太陽電池式照明灯等の設置。
  11.防火効果の高い樹種による『防災植樹』を推進する。
     ○防火樹種、配置パターン、防災上の重要度を踏まえた計画的な推進。
  12.河川や下水処理水などを活用し、災害時に役立つ身近な水源を確保する。
     ○取水しやすい河川整備と下水処理水を利用したせせらぎ等の整備。
  13.日常の生活行動を踏まえた施設整備により『安全生活圏』を形成する。
     ○生活圏の広がりに応じた施設整備と自主防災の取り組みを強化。
     ○身近な施設の防災機能の向上や日頃からの認知、利用を促進。
  14.密集市街地では、街路や広場等の基盤整備と建築物の改善を重層的に実施する。
     ○都市基盤と住宅・住環境の整備を総合的に推進。(災害に強いすまいとまちづくり)
     ○『中規模街路』(原則、幅員8m以上)を約250mメッシュで配置し、避難地等に接続。
  15.駅前等の中心市街地では、地域の防災拠点となる安全性の高い整備を実施する。
     ○駅前へのアクセス強化や防災を考慮した駅前広場での空間確保。
     ○市街地再開発等における延焼防止、避難空間やライフラインの確保。
     ○公共公益施設等の集中配置による地域の防災拠点の形成。
  16.面整備事業に際しては、周辺地域の防災をも考慮した施設配置を行う。
     ○土地区画整理事業では、周辺地域も考慮し、街路、公園、公益施設等を配置。
     ○市街地再開発事業では、地域の防災拠点となる施設、空間整備を実施。
  17.災害危険度を公表し、行政と住民が協同でまちづくりを進める。
     ○都市計画基礎調査等を活用し、災害危険度を判定の上、結果を公表。
     ○『まちづくり協議会』の設立を促進し、住民のまちづくり活動を支援。

4.ガイドラインの活用
 
 大阪府および市町村の都市計画、防災、まちづくり、建設関係部局はもとより、民間のまちづくりコンサルタントなど都市づくりに関わる人々に普及し、広く活用されている。また、市町村を通じて、まちづくり協議会など地域住民への普及も進めている。
  主な活用例は以下の通り。
  ○「防災都市づくり計画」等の策定の指針として
    大阪府および市町村が、避難地・避難路、延焼遮断帯の整備を進めるため、策定に取り組んでいる「防災都市づくり計画」などの計画指針、参考として活用。
    【防災都市づくり計画等の策定(策定中を含む)】
      ・大阪府 :防災都市づくり広域計画
      ・大阪市 :防災まちづくり計画
      ・東大阪市:東大阪市災害に強い都市づくり調査
      ・高槻市 :高槻市防災都市づくり計画
      ・八尾市 :八尾空港周辺地域・災害に強いまちづくり構想(案)
      ・泉佐野市:泉佐野市防災都市づくり計画(仮称)  など
 
 ○都市計画の立案の指針として
    「防火・準防火地域」や「防災再開発促進地区」の指定などに関する指針として活用。
    【防災再開発促進地区の指定】
      ・豊中市庄内地区や寝屋川市萱島東地区など10地区(計約1290ha)で指定
 
 ○都市基盤施設の整備の指針として
   都市基盤施設の防災性向上を図るための指針として活用。
    【活用事例】
      ・大阪外環状線鉄道の側道拡幅の都市計画決定。
       (避難路機能の向上のため8mを確保)
      ・八尾富田林線の都市計画決定(広域防災拠点へのアクセス、避難路として)
      ・久宝寺緑地の整備改善(防災公園として)       など
 
 ○密集市街地の整備改善の指針として
   木造密集市街地の整備改善を図るため、大阪府「災害に強いすまいとまちづくり促進区域」の整備計画の策定などに活用。
    【災害に強いすまいとまちづくり促進区域】
      ・21市町40地区 2,382haで指定
      ・うち、4市8地区で整備計画を策定
 
 ○住民参加によるまちづくりの推進の指針として・
   市町村を通じて、まちづくり協議会などにも配付し、地域のまちづくりを進める際の指針として活用。
    【活用事例】
      ・八尾空港周辺地域のまちづくり活動



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