2004年度 関西まちづくり賞の選考にあたって


1.授賞について
 2004年度の関西まちづくり賞は、全応募総数7件の中から、
(1) 四番町スクエアのまちづくり
 (彦根市・彦根市本町土地区画整理組合)
(2) このまちに 新たな緑を 育て隊! 伝え隊!
 (雲雀丘山手緑化推進委員会)
(3) 市民協働による寝屋川親水空間整備事業
 (寝屋川市)
 を選考した。(括弧内は応募団体)

2.選考にあたっての考え方(講評)
 選考にあたっては引き続き、「まちづくりに対する今までにない視点の取組みであること」、「まちづくりとしての先例・先導の役割を果たしていること」をもとに、各側面からの議論を行い審査した。
 今回応募のあった7件とも、関係者の異なる利害を調整し成果を出したという点で、基本的にはどの事例も相当の評価を有し甲乙つけがたいものであった。その上で今回の選考の上で大きな論点となったのは「広がり」であった。
 すなわち、「まちづくり」のもつ本質的な意味として、取り組みが行なわれた地点だけにとどまらず、周辺の地域へ影響を与え、具体的な形や活動となり、周辺地域の状況に何らかの向上要素が見られるかなどである。
 選考された3つの取り組みについての意見を集約すると次のとおり。
『四番町スクエアのまちづくり(彦根市・彦根市本町土地区画整理組合)』については、次の点で高い評価を得た。
・ いわゆる「裏通り」の開発に力を注ぎ、当地で先行して実施している「表通り」の開発とあいまって「面的な広がり」を出しており、中心市街地の活性化や街なか観光などの新しい形の商業振興の基盤づくりとして効果的なまちづくりがなされていること。
・ また、地元住民の取り組みが、土地区画整理事業や共同整備事業などハードの整備だけにとどまらず、施設等で整備した施設についても地元住民が管理運営するなど、自らのまちを自らつくり・運営するという実績が明確であること。
・ さらにはこの取り組みに触発される形で周辺においてまちづくりの具体的な取り組みがされており、住民主体のまちづくりの取り組みを効果的に実施すれば、その取り組みが再生産することが実証されてたこと。
 
『このまちに 新たな緑を 育て隊! 伝え隊!(雲雀丘山手緑化推進委員会)』については、次の点で高い評価を得た。
・ 美しい住宅地景観をもつ地域の無秩序な二次開発をきっかけに、住民が地域の緑を守るという機運が高まり、「まちづくりルール策定」へ取り組み、法定計画である地区計画と、緑地率・緑被率・緑視率や斜面地住宅の地盤高低差の規定などのまちづくり条例を組み合わせ山麓部住宅地におけるまちづくりルールの総合的な体系としてまとまっていること。この取り組みがプロトタイプとなり、当地区のみでとどまらず宝塚市内の一般住宅地へ広がりを見せていること。
・  今回の「まちづくりルール策定」が「緑化推進委員会」に発展し、大人から子供まで幅広い参加のもと、緑化推進活動のみならずコミュニティーづくり、子育て、地域活動にまで発展しており、地区計画等の都市計画による住宅の敷地規模や形態・意匠、緑化というフィジカルなまちづくりが、コミュニティーまでも含めた地域の総合的なまちづくり・まち育ての起点となりうることが実証されたこと。

『市民協働による寝屋川親水空間整備事業(寝屋川市)』については、次の点で高い評価を得た。
・ 高度成長期における急激な人口増加にともない、道路・公園などの基盤施設が遅れ、さらに木造賃貸集宅が密集するなどインナーエリアとして位置づけられ20世紀の負の遺産を抱える地域である中で、都市の再生を図るため、市の名称の由来でもある寝屋川を地域資源とし、水辺空間を活かしたまちづくりを展開していること。
・ 寝屋川の河川空間が整備を図る際に、市民公募型のワークショップを開催し、さらに計画段階から工事実施段階まで市民協働で取り組むなど市民とのパートナーシップを徹底したこと。
・ 特に、この寝屋川駅前における市民のワークショップ活動が、「ねや川水辺クラブ」として発展し、清掃活動や生物調査はもとよりその内容もユニークな活動がなされるなど寝屋川に関係する多種多様な活動へ広がっている。さらに、この取り組みは寝屋川市にとどまらず上流の交野市や下流の大東市・大阪市等の市民との連携によるネットワークが形成されるなど地域的にも広がりを見せていることがは高く評価された。
 
 以上の意見から、これら3つの取り組みを2004年度関西まちづくり賞の授賞対象とすることで意見の一致を見たところである。

3.表彰
 これらの表彰及び受賞業績のプレゼンテーションは、2005年4月26日(火)に大阪市立大学文化交流センター大ホール(大阪駅前第2ビル6F)において、日本都市計画学会関西支部2005年度総会に引き続き行われました。

        2004年度  関西まちづくり賞選考委員会 
                        委員長      正木 啓子(大阪府)