2005年度 関西まちづくり賞表彰式及びプレゼンテーション

日時 2006年4月25日(火)15:45〜17:45
場所 大阪市難波市民学習センター      講堂

次第    開会
       挨拶    日本都市計画学会関西支部長     鳴海 邦碩
       表彰    鳴海支部長・小浦委員長
       講評    関西まちづくり賞選考委員長    小浦 久子
       記念撮影
       受賞プレゼンテーション

関西まちづくり賞
  紀伊湯浅における住民手づくりの活動から育った町並み再生         <和歌山県湯浅町>
   湯浅町熊野古道研究会
  新門前通西之町における地区計画策定の取組 <京都市東山区新門前通西之町>
   西之町まちづくり協議会
  庄屋屋敷を活用した平成の町衆によるまちづくり
        −吹田歴史文化まちづくりセンター(浜屋敷)−
<大阪府吹田市高濱町>
   吹田歴史文化まちづくり協会
関西まちづくり貢献賞
  「まちづくりガ-デナ-」育成の取り組みと修了者の活動 <兵庫県淡路市野島常盤>
   兵庫県立淡路景観園芸学校
支部長挨拶 会場風景
賞状及び楯の授与
選考委員長講評 受賞プレゼンテーション
受賞者
第8回 関西まちづくり賞関係者一同



受賞成果または実績の紹介

2005年度 関西まちづくり賞
紀伊湯浅における住民手づくりの活動から育った町並み再生

     推薦者  神吉 紀世子(現 京都大学工学研究科都市環境工学専攻)

                       
〔1〕湯浅町熊野古道研究会について
 湯浅町熊野古道研究会は、湯浅町の住民有志によって同町の歴史的町並みを保全・再生するまちづくり活動を行っている団体である。


 約10年前に、同町役場において住民公募によるまちづくり委員会の設立が呼びかけられたこと、さらに、南紀熊野体験博覧会(平成11年開催)の準備が広く呼びかけられていたことをきっかけに、現在の同研究会のメンバーが出会うこととなり、湯浅町旧市街地を通る熊野古道とその歴史的町並みについて魅力や歴史資源の掘り起こし活動をすることを主旨として、同研究会は発足した。今回推薦する「湯浅町熊野古道研究会」の三ツ村貞範、津浦裕の2名は、その活動の立ち上げ以来現在まで中心的役割を担っている。
 日本の醤油醸造業発祥の地として知られる湯浅に、歴史的町並みが残されていることは、10年前には、一般にはほとんど知られていなかった。同町においても歴史的町並みを活かしたまちづくりを行うというはっきりした方針はなかった。同研究会はそうした中で、最初に歴史的町並みに注目し、その魅力を引き出すことに着手した有志の住民団体である。

図1 湯浅町の位置と旧市街地 図2 湯浅におけるまちづくりの展開

〔2〕推薦の趣旨
 この研究会は、地域においてまちづくりの気運が顕在化する前に活動を立ち上げた「パイオニア」であること、ならびに、次第に多様な主体に活動が拡大するプロセスの原動力となっていることにある。
 図2に示すように、湯浅のまちづくりそれ自体の特徴が、老舗・住民(町内会)・商工・建築専門家・役場等、各主体において、自らの職能や得意分野の上での「ごく普通に担うべき仕事として」町並みに対する貢献を分担し、かつ連携している、という、「無理のない=ゆっくりだが持続的に進展していく」という形態をもって進んできたことにある。しかし、そうした各主体の自主的成長を、要所要所で励まし、また、相談や協力にのることで「つなぎ役」を担ってきた。「つなぎ役」は、常に目立つ存在とは限らないが、その重要性を評価することは、まちづくりの発展において重要なことであると考える。

〔3〕湯浅町熊野古道研究会の活動とその拡がり
 熊野古道研究会の活動そのものの特色は、その「手作り」的手法と完成度の高さにある。初期から現在まで最もよく知られているのは、手作りの辻行灯(写真1)ならびに蒸籠(せいろ)箱を活用し由緒ある古道具や詩歌等の展示物(写真2)の製作で、これを古い町並みを構成する各所の家屋に取り付け、野外博物館を構成するという「せいろミュージアム」である。

写真1 手作りの辻行灯 写真2 せいろミュージアム
まちの手作りの辻行灯 写真3 自販機を撤去し行灯と古材ベンチで修景 写真4 昔の港風景の再現模型

 辻行灯は、家屋や建具の古材を用いて津浦氏が自作しており、住民からの依頼にもとづいて設置している。また、同氏はその技を活かして、まちかど修景(写真3)や、ギャラリー等での展示模型の製作(写真4)まで手がけられている。
 せいろミュージアムは、三ツ村氏らの地道な尽力により、住民の付き合いの中で拡がっていき、現在その展示物の完成度の高さ、設置数の圧倒的な多さ(現在約50箇所)は特に印象的な水準に達している。
 こうした活動が次第に、湯浅町の諸主体の活動を巻き込み、歴史的町並み保存再生の本格的な取り組みに拡大していった。1999〜2000年度には町の教育委員会が文化庁の伝統的建造物群保存対策調査を実施し、本格的に学識経験者による町並み調査が行われたが、このとき、調査対象家屋への交渉をはじめ、調査の実施に、候補者は多大な協力をしている。この調査の後、住民の自主修景が進んでいくが、その修景にあたっても、同研究会は実施者から相談を受け、また、辻行灯等を製作する技術を活かして実際の作業実働の一部も引き受けてきた(写真3)。また、自主修景が進むのに並行して、地元の工務店・大工技術者が町家や蔵の修理を役場や住民から依頼されるようになり、その仕事の成果の見学会をきっかけに建築関係者による研究会(湯浅のまちなみ研究会)を設立している。さらに、商店街組織を基盤とするTMOも中心市街地活性化の取り組みの中で、町並みを活かしたまちづくりへと大きく展開し現在に至り、2005年12月に湯浅町伝統的建造物群保存条例が可決された現在にあたっても、湯浅町古道研究会は、各町内会による活動の立ち上げの相談にのり、協力を続けている(図2)。
 湯浅の町並み再生は、住民有志、老舗事業所、地元の大工、TMO、有志の学識経験者・文化財専門家、の協力により、それぞれ自分たちの技や仕事の中で役割をこなしてきた結果として進んだ。保存地区として制度的に整備されるのに要した年月の間に、実の所、町並みは大いにその姿を洗練させてきている。その自然な成長の出発点を作ったパイオニアとして、湯浅町熊野古道研究会の活動を、関西まちづくり賞の候補として推薦するものである。




2005年度 関西まちづくり賞
新門前通西之町における地区計画策定の取組

     推薦者  高田 光雄京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 居住空間学講座

1 新門前通西之町について
(1) 今から約四百年前、浄土宗総本山の知恩院の門前通として現在の古門前通ができた後、知恩院三門の建立の完成に合わせて新たにできた約500mほどの通りが新門前通で、その両側に形成された「白川」から「大和大路通(縄手通)」に囲まれた部分が、現在の新門前通西之町である。

(2) 茶道具や古美術を扱うお店、また明治中期からは外国人観光客相手の古美術商も集まり、今でも20数軒もの古美術商が軒を並べる京都の有数の「古美術のまち」として、国内外にその名が知れ渡っている。また、新門前通は、京都市市街地景観整備条例に基づく歴史的景観保全修景地区にも指定されており、新橋通とともに昔ながらの風情を残す良好な町並み景観を現在も有している。

2 まちづくりの取組経過(地区計画の策定)
(1) この地域は、京阪の三条駅と四条駅のほぼ中間にあり、また繁華街に近接していることから飲食店を含め様々な業種の店舗があるが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる「風営法」の規制により、小学校など文教施設周辺の一定範囲における風俗店の出店は規制されていた。

(2) しかしながら、平成16年3月に、近くの小学校が統廃合されることになり、風俗店の進出による住境環への影響を心配する声が、地域住民の間で起った。木屋町周辺など少し前に小学校が統廃合された地域の住環境が一変したことを目の辺りにし、現在の静かな佇まいを今後維持していけるのかという危機感を持つようになった。

(3) こういった不安をただ黙って見過ごすのではなく、何とか町内全体で対応しようとする気運が高まり、地蔵盆など地域住民が集まる場で、この問題に対応する組織が町内に必要ではないかという話になり、平成15年10月1日に、人間国宝である能楽師の片山九郎衛門さんを会長とする発起人18名の「西之町まちづくり協議会」が発足した。


(4) まちづくり協議会発足後の住民同士の話し合いでは、現在の住環境をどう守るかということが主に話し合われ、その具体的な手法として地区計画制度を活用し、現在の住環境の保全を図っていこうということになった。

(5) 地区計画策定に向け、京都市景観・まちづくりセンターの活動支援制度によって派遣された専門家を交えて、合意形成のためのワークショップを4回行った。ワークショップでは、専門家の助言を参考に地域における課題や文化・歴史、これからのまちづくりの方針などについて熱心な議論が行われ、職住共存の文化的なより良いまちづくりを目指すという目標を住民間で共有するとともに、この目標に向けて西之町にふさわしくない建物を規制することも確認された。

(6) 住民集会後、「まちづくりニュース」を作成し、参加者以外の方々に会議の内容をお知らせするなど、できる限り多くの方への参加をお願いしたこともあり、地区計画策定において最も重要なポイントである住民間の合意形成についても、計画内容に対する問い合わせはあったが、特に反対意見が出されることもなく、平成16年7月、京都市へ地区計画策定の要望書を提出し、11月に都市計画決定された。

(7) 地区計画の策定により一定の環境は保たれることとなったが、まちづくり協議会では、今回の取組で明らかになった町の将来像に向けて、都市計画では達成することができないことについても今後継続的に取組を進めようとしている。具体的には、「町式目」のような形で、ソフトも含めた幅広いルール化も検討している。


3 取組のポイント
(1) 関係主体の連携による取組という点がまず挙げられる。地区計画制度については、地域の皆さんの想いを都市計画に反映する制度として重要視されているものの、実際にその具体化まで図るのは、地元権利者の合意形成という点でなかなか難しいのが現状であろう。当地区の取組では、西之町が永年に渡って築いてきた地域コミュニティを背景に、地域住民等、関連行政機関、まちづくりセンター、センターから派遣された専門家という関係者のコラボレーションにより取組が進められた。非常にいい形でそれぞれの役割分担と連携が行われ、取組が始められてから1年足らずで地区計画の策定というスピーディな取組となった。

(2) もう1つは、地区計画の策定が到達点ではないと認識し、継続的な取組につなげようとしている点である。何らかの危機意識から地区計画の取組を始めた場合、その結実とともに目的は達成されたという意識になるものである。しかし、西之町では、地区計画での規制はあくまで自分たちのまちを守るための1つの取組でしかなく、まちづくりは始まったばかりという意識を持っており、改めて自分たちのまちの将来像を考え、共有し、自分たちが想い描いたまちの将来像のために自らがなすべき多くのことを感じ取った。今後、どのようにまちづくりが発展していくのかはまだまだ未知数であるが、少なくとも地区計画策定を契機として継続的な取組につなげていこうと考えている。





2005年度 関西まちづくり賞
庄屋屋敷を活用した平成の町衆によるまちづくり
                ―吹田歴史文化まちづくりセンター(浜屋敷)

     推薦者  岡 絵理子現 関西大学工学部建築学科

1.地域の紹介
 本センターは、土佐日記・紀貫之が土佐からの帰り、船で京まで遡行した神崎川・安威川に面した水陸運の中継地として、また大坂から「吹田の渡し」を経て伊丹へと続く旧吹田街道や亀岡街道の沿道を中心に、在郷町として発展した集落地で、旧街道沿いに、歴史を偲ばせる民家や地域の生い立ちを伝える歴史的地点が点在する地域にあり、歴史的・文化的資源として都市景観に変化と重みを与えている。
 現在は、大正・昭和初期からの店舗もある商店街や、近年建設されたマンションも立地した複合的な住宅地となっている。


2.事業の経緯
 2000年、吹田市は江戸後期の庄屋屋敷(大阪特有の四間づくり)と敷地の寄付を受けた。吹田市では、「まちづくり総合支援事業」として、高次都市施設と位置づけた庄屋屋敷のまちづくりの発信拠点としての再生・活用、高質空間形成施設と位置づけた旧街道や歴史的ないわれの残る公園整備などの面的な整備を行った。
 これらの事業を進めるに当たっては、多分野の市民・専門家など町衆自身が中心となり、行政との協働による再生・活用の企画立案を行った。
 その後、多分野の市民・専門家が活動と発信を行う組織「吹田歴史文化まちづくり協会」が発足、現在は、吹田市の条例で位置づけられた「吹田歴史文化まちづくりセンター」の運営の主体となっている。「吹田歴史文化まちづくり協会」は、これまで重ねてきた議論を生かしながら、歴史文化のまちづくり活動を行うとともに、施設の運営や管理の実績を重ね、平成18年度から指定管理者として運営を行うこととなっている。
 また屋内外とも改修、復元された庄屋屋敷は、江戸時代の生活の様子を伝える建物となると同時に、歴史的・文化的景観の拠点ともなっている。

3.現在の活動
 「吹田歴史文化まちづくり協会」の活動は、「古いままの暮らしは退屈、けれど少し遊びを加えれば楽しいものになる」、「懐かしい雰囲気だけれど新鮮」、「田舎風なのにどことなくおしゃれ」、そのような空気をかもし出せる、地道で真面目なまちづくりの実践と発信を目指し、地域の歴史や文化を愛する市民、企業OB、ごく普通の市民、こども育成のベテラン、近隣商店街の商業者、古建築専門家、都市計画家、建築家など多分野の市民・専門家と行政との企画段階からの協働による活動を心がけている。
 子供から大人まで市民が親しみやすいイベント、活動を行っており、シャンソンやジャズや和楽器などのコンサート、狂言・文楽などの伝統芸能のほか、カルタ遊び、月見茶会やひな祭り、幼児・児童向けのイベントなど子供に夢をもたらす催しを行う一方、モダンアート・彫刻などの芸術展など協会の自主事業や文化・芸術家による発表活動の場ともなっている。また、大学生チームによるまちづくり・地域研究の発信の場ともなっており、研究領域にまで広がりをみせている。


 このような地域のまちづくり活動は、市民による神崎川の清掃・美化活動にまで広がり、吹田まつりの際には水に親しむ意識の復活として子供から大人まで参加するドラゴンボートレースが毎年行われている。江戸時代まで重要な水運中継地でもあったこの地域が、再び川や水環境への市民意識を喚起する役割も担っている。
 また、地元企業が企業市民として、協働による文化やまちづくりの創造に参画するリーディーングモデルや、地域商店会と協働の企画立案を経て、歴史文化資源の再発見と商業の振興をコラボレートしていることで、商業と文化の実践モデルとなっている。
 このように、本センターの存在は、地域の歴史文化資源活用が町並みに潤いをもたらすだけでなく、地域コミュニティの再生にも効果的な手法であること示しており、本センターを拠点として萌芽したまちづくりへの市民意識は、住むまちやまちなみを愛そうとすることから敷衍し、地域の母なる川の水環境への配慮へと広がりを示めしている。





2005年度 関西まちづくり貢献賞
「まちづくりガーデナー」育成の取り組みと修了者の活動

     推薦者  平田 富士男兵庫県立淡路景観園芸学校

1 応募の趣旨
 阪神・淡路大震災の震源地(野島断層)にほど近い野島常盤の山麓に、平成11年4月兵庫県立淡路景観園芸学校が開校した。ここでは、大震災の教訓を踏まえ、自然と共生する地域づくりをリードしていく様々な人材の養成を教育理念とし、開校以来多様で先進的かつ特徴的な教育活動を展開してきた。
 それは、当校が震源地に立地する学校として、震災復興の過程から生まれた『市民自身が花や緑に代表される地域の自然と共生するまちづくり・地域づくりを展開していく』ためのモデルを他の地域、そして全国に、さらには後世にも継続的に発信し続けていくという教育上の責務を有しているからである。
 このため、開校と同時に、教育コースのひとつとして、県民ひとりひとりがその担い手として活動していくことをめざし、全国初の試みとも言える規模と内容の生涯学習システムを構築し、6年あまり展開してきた。
 この教育活動について、コース構成やカリキュラム等の教育システム、それによる教育成果について、一定の実績が蓄積したことから、震災10周年にあたる今年、震災地における復興の一つの姿として発信するため、この賞に応募するものである。

2 淡路景観園芸学校が構築した教育システム
 応募の対象としているのは、当校が開始した一般県民を対象とした生涯学習としての「花や緑まちづくりボランティアリーダー」の育成講座とその成果である。
(1) 目 標
 本講座の教育理念は「それぞれの地域やまちで、花や緑をツールとして真に住みよいまち・地域をつくり、運営していく活動をおこし、活性化し、展開していくボランティアリーダーとしての『まちづくりガーデナー』を育成することをつうじ、景観園芸の展開を全県レベルで図る」ものである。
 このため、講座は自らのまち・地域を花や緑でよくしていこうという関心のある人なら県民誰でも参加できるものとし、全県民が自ら自然と共生するまちづくりに取り組むという県の姿を、全国に発信するベースとなる講座とも言えるものである。
 教育の方針は、単に花や緑を育てる園芸技術の講座ではなく、花や緑に代表される地域の自然と共生するまちづくり、地域づくりをリードする人材の育成として設定し、そのための教育内容も植物栽培・育成の技術はもちろん、まちづくり、ワークショップ、情報発信、環境教育等幅広いものとし、さらに、現場での実習をふんだんに取り入れた実践的なものとした。

(2) コース構成、カリキュラム
 この講座は、単に修了生を「まちづくりガーデナー」として認定することより、より実質的に地域で活動する人材を育成するかに力点をおいている。このため、ただまちづくりガーデナー育成のための単独の1コース(「本科コース」)を置くだけではなく、一般県民でも長期にわたるそのコースになるべく抵抗なく入講し、さらには修了後も自分の興味分野をさらにレベルアップしていけるよう「体験コース」「テーマコース」をあわせ3段階のコース構成を構築した。
 なお、「まちづくりガーデナー」の称号は本科コースの修了生に兵庫県知事から授与されるものである。
 また、カリキュラムは、(1)で述べた目標に基づき、それぞれのコースで実践的なものとしたが、その構成にあたっては、国内の既存講座のカリキュラムや海外の類似講座の内容を綿密に調査した結果を踏まえ、独自に構成を行った。

(3) 受講者受け入れ実績
 上記3つのコースには、本科コース:約80名、体験コース:約200名、テーマコース:約150名を毎年コンスタントに受け入れている。その年齢構成、出身地も幅広く、年齢は20代から70代まで、出身地も兵庫県のみならず評判を聞きつけて西は九州、沖縄、東は関東にまで及びつつある。 

(4) 講座運営の特長
 これらの講座では、単に授業、実習で教育を行うだけではなく、その教育成果を外部に発信したり、受講生、修了生、さらにはまちづくり活動を実践している多くの市民とも情報交換、交流を図ることにより、より大きな教育成果を生み出すべく、毎年「花と緑のまちづくりフォーラム」を行ってきている。
 このフォーラムを起点に様々なまちづくり活動が展開をしてきており、オープンガーデンに関する活動は兵庫県が全国一とも言える活況を呈している。
 また、このフォーラムをきっかけとして広く緑に関わるNPOの交流ネットワークも形成された。

3 教育の成果
 「教育の成果」は、修了生の主体的な地域づくり、まちづくり活動の状況によって評価される。
 修了生の活動を当校にて逐一把握することは不可能であるが、毎年開かれるフォーラムにおける修了生の活動報告等から把握される活動の内容は多様であり、密度も濃い。
(1) 修了生の活動分野
 活動は、a.地域内の空地を地域住民とともに緑化し、まちなみ景観の向上やそれに参加する住民どうしでコミュニティ形成をめざすもの、b.身近な公園の管理運営といった一般的なものから、c.オープンガーデンネットワーク形成、d.園芸療法の実践、e.環境教育の実践、f.里山保全活動の展開、g.中山間地域等を舞台とした都市農村交流等にもおよんでいる。

(2) 修了生どうしのネットワーク形成 
 修了生の活動がはっきりとした「形」として結実しているものに、修了生同士のネットワーク形成の基盤となっているNPOの組織化と、そこをベースとした数々の活動の展開があげられる。
 このNPOは、「アルファグリーンネット(AGN)」と称し、講座開講初年度に開催されたフォーラムでの議論をきっかけとして修了生の会が発足し、平成13年に知事認証、登記を経て法人としてのNPOになったものである。
 現在、約400名弱の会員を擁し、県内各市町に支部をおく組織体制で、県および各市町と連携をとりながら、兵庫県における参画と協働による花と緑のまちづくりの推進の中心的役割を担っている。

(3) AGNの特徴的活動
 AGNの活動が全国的に見てもぬきんでていると思われるのは「各自の庭からまちなみづくり、まちづくりを広げていこうとする『オープンガーデン活動』」の展開である。ここ数年ガーデニング活動のなかからオープンガーデンの活動は、各地で散発的に起こりつつあったが、AGN会員の各地域における活動を通じて兵庫県だけで10地区にもおよぶオープンガーデンネットワークグループが形成され、それらグループがさらに横の連携を通じてその活動を活性化させている。さらに、AGNは「全国オープンガーデナーのつどい」の開催等、これらの活動の普及啓発に全国レベルで取り組んでおり、それらの活動は兵庫県を全国一のオープンガーデン先進県にまで押し上げた。


 以上のように、花と緑を「楽しみながら」美しくあたたかなまちづくりに自然体で貢献していく住民リーダーを育成する全国的に見てもオリジナルで密度の濃い内容の教育システムを構築したこと、さらにはそれに基づき住民が「楽しみながら」さまざまな花と緑のまちづくりに取り組んでいくという大きな教育成果をあげたことをもって、今年度の募集テーマ『楽しい都市計画』の対象活動として応募するものである。
<新聞記事>

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