"人をつなぎまちを創るかなめ
      ―「NPO花と観音の里」のTMO活動"

推薦者 地域計画建築研究所 松本 明

 滋賀県伊香郡高月町は琵琶湖の湖北地域の中心地であり、農村地域の中に先端産業の日本電気ガラスの工場が立地し、農業機械のヤンマーの創業地でもあり、北陸自動車道や国道8号などの交通条件を生かした商業・流通・物流企業が立地している。
 歴史的にも「北国街道」沿いのまちとして、また、国宝十一面観音をはじめとする様々な観音を擁する「観音の里」として歴史文化資源にもすぐれている。
 平成18年10月に北陸本線の直流化が完了し、京阪神方面への直通新快速電車が開通し、人口1万人のまちとして、旧集落を含めたJR高月駅周辺の新しい玄関口整備、景観の修景や保全、観音の里としての隣接町と連携した広域観光ネットワークの形成、町民の生活文化の向上など多くの課題をかかえながら、新たな変化が起こりつつある。

コスモスの花を咲かせるプロジェクト
花いっぱい運動

 これらに対し、高月町と商工会を中心に、中心市街地の活性化を目指した「中心市街地活性化基本計画」や「地域振興ビジョン」を策定し、地域振興のまちづくりを進めてきたが、今日、重要となっているまちづくりにおける「企画調整機能」と「事業推進機構」の両方の機能を持った組織の立ち上げが急務であるとの観点から、この推進母体として、「NPO花と観音の里」を平成17年12月に立ち上げ、18年3月には知事によるNPO認証及び町長による旧中心市街地活性化法に基づくTMO認証を受けた。

観音検定

 「花と観音の里」の活動内容は、まちづくりを官民連携で進めることを基本に、NPO花と観音の里を核として、町商工会、町役場、自治会、各種団体が連携して、高月駅周辺整備とあわせた中心市街地活性化計画の推進、自治会等による「美しい景観を育てる」協定書づくり、各種活性化イベントの企画・実施と盛り上げ、各種勉強会、「観音検定」の実施などに取組んでいる。
 活動分野も、ボランティア、NPO、営利活動など多様に対応できるようになり、各組織の役割を大切にしながら、NPOが地域運営の中心的位置を担うようになった。また、中心市街地の活性化に向けた各種TMO事業の実施主体が明確となり、「住民組織」「各種団体」「民間企業、3セク等」の協働・連携もスムーズに行えるようになった。NPOの構成メンバーも、商工会、各種団体、自治会、行政など幅広い分野から参画を得ている。
 さらに、活動拠点についても「サンレイバー」(町施設)の指定管理者となって施設の管理・運営を行い、この施設は各種の会議やイベント、勉強会の会場等、気軽に集える場として活用されている。

 これまでの活動と今後の展開について、以下の点が特徴としてあげられる。
@ 地域振興に役立つ活動内容
 地域の自然や環境保全、景観づくり、祭やイベントなどの生活文化活動、各種の計画づくりや事業づくりの提案、調整、合意形成の活動、地域産業振興としての農産品加工による付加価値アップ、販売、観光交流などの連携に貢献している。
 これらを地域振興に繋いでいくとともに、新しい試みとして観光振興と結ぶ「観音検定」の実施や、イベントの支援・参加、地域の美化対策としての花いっぱい運動など、地域住民と連携した「企画調整機能」の具体的実施は高く評価されている。

A 地域の運営・経営組織としての役割
 従来は、財政面から行政が地域を動かす中心的な役割を果たしてきたが、地域の総力をあげた「地域力」を具体化、推進できる組織としての「NPO花と観音の里」の新しい役割をあげることができる。
 今後、町民の合意形成、ボランティア活動、生活文化活動や事業推進、経営体の活動の中軸として大きな役割を発揮することが期待される。
 例えば、市町村合併などの動きに対しても地域主体の運営・経営組織として新しい役割を担う。また、全国のTMOの失敗例から学び「事業推進」だけでなく「企画調整」や各種実施主体とのネットワークにより、新しい地域の管理・振興にとって貢献していくこと可能性を持つ。

B 中心市街地の活性化
 今後、法改正に基づく新たな中心市街地活性化基本計画づくりにおいても、大きな役割を果たすことや、地域における人材育成の面でも大きく貢献することが期待できる。
 また、NPO単独の活動と共に、高月町や商工会、町内会などと連携した大きな力となりつつある。

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