2015/04/22 【ご報告】

研究助成「都市計画研究会」の概要報告

2013~2014年度に渡り研究助成を受けた下記2件についての研究概要についてご報告いたします。

●「「まち」に関わる若手が地域とつながる家庭のあり方を考える研究会」(代表:松本邦彦)
 本研究会は、通称『まちに関わる「わたし」の生き方研究会』として、仕事、楽しみ、自己実現など、様々な形で「まち」に関わる若手世代の働き方、家族やパートナーとの関係について研究している。
 研究助成期間中には、業界で働く若手のライフスタイルの現状・理想を把握するためのアンケート調査およびヒアリング調査、家庭や子育てなどをテーマに運営しているシェア・コワーキングスペースの調査を実施した。
 アンケート調査からは、「はたらく」「くらす」「たのしむ」に関して、地域の活動や趣味につながる自分の時間を上手く日常に取り入れたいと思いながらも、現実にはそれが不十分であることなどがあきらかになった。コワーキングスペース等の調査からはと、「はたらく」「くらす」の時間を上手く結びつける機能、「自分の時間」を楽しながら他者と共有する機能が生まれつつあることが明らかになった。


●「被災リスク下にある歴史的景観地区コミュニティの居住継続意識とその支持要因~和歌山県海南市黒江・船尾地区の事例」(代表:田中正人)
 太平洋沿岸地域では、公共施設の高台や内陸への移転が具体化し、一部では居住者の自主的な移転も始まっている。厳しい被災リスクを避けるためには移転が有効であるのは確かである。だがそれは、長い年月を経て形成されてきた歴史的景観の価値が損なわれる可能性と表裏一体である。歴史的景観は、もちろん人命の価値を上回るものではないが、人命の集合であるコミュニティの営為の蓄積という一面を持っている。その蓄積をどの程度あきらめ、被災リスクをどの程度まで受け入れるのか。
 本研究はこの問いに接近するべく、海南市黒江・船尾地区を事例に、居住者へのアンケート及びインタビューを行った。積極的な移転意向を持つ居住者は、全体の1割にとどまり、4割以上は移転拒否すなわち居住継続意向を持っている。こうした意向を分かつ背景には、居住地への「愛着」、居住期間や地区内での自営業経験、歴史的景観地区としての価値の認識、の3点がある。
 

松本邦彦氏

田中正人氏

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