2016/05/18 【ご報告】

研究助成「都市計画研究会」の概要報告

2014~2015年度に渡り研究助成を受けた下記3件についての研究概要についてご報告いたします。

●大都市における古集落の歴史的・文化的資源データブックの作成(代表:依藤智子(ワイキューブラボ))
 本研究会は、大阪都市圏に戦前から残っている民家や建造物等の地域固有の歴史や文化と一体となり醸成されるストーリーを内包した資源を、地域のアイデンティティや愛着を育む上で貴重な地域の歴史的・文化的資源として着目し、これらの現状の分布及び利活用状況を調査し、まちの歴史的・文化的資源レッドデータベースとしてとりまとめ、今後の保存や活用の基礎資料とすることを目的とした。対象地は、東淀川区・下新庄村及び吹田市・旧吹田村の2地域とした。下新庄村は、個別ヒアリング形式により資源の掘り起こしを行ったが、十分な資源情報が得られていないことから、継続して情報収集が必要である。旧吹田村では住民参加ワークショップ等による資源の掘り起こし及び現地調査を行い、歴史的建築物、街並、社寺、河川や史跡等について地域の記憶を掲載したレッドデータブックを作成した。今後レッドデータブックの地域への還元及び内容の充実を進める。

●市民らによる価値創造の場となるコミュニティスペースの形成と運営手法に関する研究(代表:長谷川香里(納屋工房))
 都市間競争の激化に伴い、魅力のある選ばれる都市であるための取り組みが続けられている。本研究会では、市民の満足度や幸福度を高め、今後のまちづくりには欠かせない空間要素となる可能性のある「コミュニティスペース」に着目し、関西圏における7事例の現地において運営者にヒアリング調査を行った。
 その結果、コミュニティスペースは団体による運営であってもコアとなる運営者がいて、その人にとって居心地のよい居場所であり、好みの情報を発信し、情報に付随するものを売ったりひとを呼んだりもできる「情報やつながりを扱う雑貨店」のような場であることがわかった。また、訪れる人が運営側にまわりその場を使って何かできる可能性があるのも特徴的であった。こういった場を新たにつくりだすには、思いを持った店主の発掘、初動期の場所整備の資金提供、広報の機会提供、マスではなくても地域のニーズに応える場であることが必要だといえる。

●地方都市の魅力とパーソナルネットワーク研究会(代表:南愛(生駒市))
 多くの地方都市で中心市街地衰退が課題となる中で、個店経営者は、商品やサービス、イベントの開催、古民家等の地域資源の活用など、様々な活動でまちなかの魅力創出に寄与する。そうした活動への支援は商店街組合等の組織体を介することが主であり、経営者個人のパーソナルネットワークは、影響することが考えられるものの、これまであまり重要視されてこなかった。そこで本研究会では、奈良市中心市街地の一部「奈良町」界隈を対象地とし、個店経営者らの活動およびパーソナルネットワークの実態把握を目的に、個店経営者12名を対象としてヒアリング調査を行った。結果から、個店経営者のパーソナルネットワークが物件情報をもたらすことで新規出店に繋がりうること、地縁組織を介さないイベントや互いの顧客に店舗の宣伝を行うこと等を通して来街者の中心市街地の楽しみ方や店舗との出会いの機会を広げていることが確認された。また調査結果から、対象地の個店経営者のつながりを紹介する小冊子を作成した。

依藤智子氏

長谷川香里氏

南愛氏

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